趣味の店

shumi
街歩きをしているとたまに見かけるのが「趣味の店、○○」という店だ。趣味の店というのは、たいてい店主が好きなスポーツやカルチャー、あるいは特定の地域の洋服や雑貨を扱っている場合が多い。いずれの場合も一家言ありそうな店主が店の奥に鎮座していそうで非常に敷居が高く、また、店全体の雰囲気もどこか俗世から離れ、世の中を上から見下ろしたようなオーラを纏っているように感じる。
この神戸の南京町でみつけた店は、その名も「喫茶しゅみ」。喫茶店である。看板を良く見ると、漢字で「須彌」と書いてある。調べてみると「須彌」とは須弥山(しゅみせん)という山の略で、須弥山とは古代インドの世界観で中心にあるとされている山のようだ。
その須弥山の土台となっている部分を金輪際(こんりんざい)と呼び、翻って、物事の最初から最後という意味になったそうなのである。
この「喫茶しゅみ」のオーナーはどのような想いでこの店名を付けたのであろうか。趣味との掛詞なのか、港町の喫茶店という場に金輪際の出会いの意味を込めたのか、はたまた純粋に辿り着くことのない遠くのインドの山に想いを馳せたのか。謎は深まるばかりである。