喜楽指数

喜楽指数。お気楽度合いを測る指標でもなければ、芥川賞や直木賞の話でもない。
東京、渋谷の道玄坂にある中華「喜楽」の中華麺(普通のラーメン)の価格の話である。
その中華麺を初めて食べたときの記憶は鮮明に覚えている。
30年ほど前。ちょうど成人した頃で、有名店で食べるラーメンはこんなに美味しいものなのかと感動し、食べ歩きの契機にもなった店だ。
その後、喜楽のすぐ近くにあったアメリカンバー・ロキシー(今は閉店)でアルバイトをしていたこともあって、週に2、3回は食べていた。当時の価格は520円だった。
現在の価格は750円。44.23%上昇した。30年複利の年率に直すと年1.23%の上昇率になる。
日本の「失われた30年」 はデフレの時代とも言われているが、チェーン店以外のラーメンの価格は、素材の高級化やトッピングの要素を除いても、順調に上昇してきたように感じる。
食品の指数というと「ビックマック指数」を思い出すが、こちらは為替相場や価格戦略も影響するため、多国間比較の意味合いが強く、日本国内のインフレ・デフレの感覚とは結び付きにくい。
喜楽のカウンターに座る度に、ここ30年の景気変動とインフレ・デフレに思いを馳せてしまう。