ポジショントーク

バスに乗っていたら、車両中央の出口付近に立っていた女子高生が、ご婦人に注意された。どうやら手すりの前に立っているため、ご婦人含め、足の悪い乗客の下車に支障が出るからのようだった。

車内を見回してみると、結構混んでいた。通路には女子高生がいかにも嫌がりそうなオジサンが多く乗っており、奥の席の爺さんに至っては単なる咳払いなんだか、風邪だか分かららないような大きな咳を連発していて、隣には誰も座っていなかった。彼女の居場所は出口付近にしかないように思えた。

自分は今、バスで通勤をしている。空いているときは便利な通勤手段だ。しかし、朝の通勤時間でそんなことはまずない。バスの終着はJRの駅であり、終着に近づくに従ってどんどん混んでいく。そう、終着に着く頃には身動きできないほどの超満員なのだ。そして、問題は、自分が降りるのが、その終着一つ前のバス停であるということだ。

バスの奥にいると下車時に回りの乗客に迷惑をかけながら降りなければいけない。そして、停車時間も増える。そのため、出口付近が空いているときはそこに陣取り、スムーズに降りられるようにしている。だが、出口付近に陣取っていると、なんだか、自分勝手に場所を取っているように見えなくもない。暗黙のプレッシャーを感じるときもある。そのプレッシャーから解放され、周囲に自分勝手な野郎ではないということを主張できるのは一つ前のバス停で降りる時の一瞬である。何かいい解決策はないものだろうか。